東京新聞に掲載されました

本文を転載します。
高齢化が進むかつての新興住宅地で、住民が気軽に立ち寄り交流できる居場所をつくろうと、東京都町田市成瀬台3の夫婦が自宅の1階を開放した「陽だまりカフェ」が3日、開店1周年を迎えた。5日まで記念イベントとして、入場無料で楽器演奏や合唱も楽しめる「感謝祭」を開いている。(宮本隆康)
 カフェを開店したのは、安達毅さん(64)と妻の聡子さん(61)。福祉関連の仕事をしている聡子さんは、近所にあった以前の自宅で2015年から月一回、認知症の人やその家族、近所の住民らが集まれる「認知症カフェ」を開いていた。
 成瀬台地区では1970年代から、住宅の分譲が本格化。当時30代で転入した人たちも80代になり、高齢化が進む。認知症カフェは「一人よりも、みんなで食べる方が楽しい」などと住民らに喜ばれたため、安達さん夫妻は月一回ではなく、常設のカフェ開店を考えるようになった。
 住宅地にある当時の自宅では難しかったが、成瀬台中心部の土地が売りに出された。二人は2021年に土地を購入し、自宅を買い替えた。新たな自宅の一階をカフェにして、22年5月3日にカフェをオープンさせた。
 二人とも仕事があったため、近所の中高年の女性ら約30人がボランティアで店番を引き受けた。「友だちができたり会えたりする」と楽しみながら、交代で午前9時から午後5時まで店に詰めている。
 店内にはコーヒーや紅茶などが置かれ、セルフサービス方式で料金は一人200円。希望者には店を貸し出し、合唱や楽器演奏の発表会、木工教室、ヨガ教室、子ども食堂などに使われている。来店者は一カ月間で延べ約500人に上る。
 「ふらっと立ち寄れ、孤独を感じない安らげる場になれば」と聡子さん。毅さんは「みんながウィンウィンになれる仕組み。他の地域にも広まったらいい」と話している。